仕事帰り、地元の行き付けの店で、佐貫の酒仙と杯を交わす。
改装されてから、夜に行くのは初めてだ。
両親の介護が終わったばかりの酒仙より、最近の事情を聞く。それほど長くなかったとはいえ、やはり、大変なようだ。
十九時より飲み始め、帰路が遠い酒仙のことを考え、ふたりで三合ほどのところで切り上げる。
また、店も忙しく、店主は話す暇もない。
お客は切り目なく訪れる。
予約しなければ入れなかっただろう。
酒仙と別れ、列車に乗り、ふたつほど先にある駅で下車する。歩いても、二十分弱だが、飲んでいるので億劫だ。それにやや寒い。
わざわざ列車に乗ったのは、銭湯に寄るためだ。
建物の外観は新しく、番台ではなく、カウンター式だ。
二十一時くらいということもあり、空いている。
先客のふたりが出ると、貸し切り状態となる。
浴室の絵は、富士山だ。天井も高い。
昔風なのが、意外だ。
(第三千八百七十八段)