年末年始も仕事だ。
そうした折り、最終日曜が休みであった。地元を歩く。町はすっかり、正月のような雰囲気である。
普段は、行かない方へ足を向ける。
地元は元々農村だ。農道だった名残で、一歩、裏道に入ると、かなり狭く、蛇のような道だ。
庚申塔や稲荷が現れる。整備されている。
その近くに、昭和末期の二階建てのアパートがある。
ドアに張られている部屋番号は傾き、如何にも雨漏りがしそうな感じである。ふと、古屋の漏りを思い出す。
アパートの前では、ひとり暮らしの五十代半ばの男性が煙草を吸っている。太いセルフレームを掛けている。フレームの上部が黒で、下部は透明だ。
茶色のジャージに小太りな体型を包み、頭はボサボサだ。
暫し、眺めていると、部屋に戻る。
どこかで見たような光景だ。
午後の日差しは低く、もうすぐ日が暮れる。
(第三千七百七十八段)