この夏は寝不足である。勿論、オリンピックが関係している。だが、テレビは観ていない。観ているのは家人である。日本人が活躍する度に時間を問わず拍手をする。人が寝ている時に、迷惑な話である。まるで、落語の『宿屋の仇討』状態である。これを知らない近所はどう思うか。
こちらはそれほど関心がなく、新聞で結果を知るだけで充分なものの、家人はそれでは済まず、結果が分かっていても、ニュースで必ず確認している。
こうした調子だから、結果が悪いと機嫌が悪い。特に、期待されている野球に関しては厳しく、先取点を取られると気分が悪いと言い、途中でスイッチを消す始末である。尤も、その後も気になるようで、どうなったかと言いながら、点けたり消したりしている。忙しいことこの上ない。
家人によれば、参加するだけでは駄目で、日本人が活躍しなくては意味がないらしい。活躍はどうでも良いが、こちらとしては早く終わって貰いたいと願うばかりである。
活躍すれば機嫌は良いが拍手が煩く、活躍しないと機嫌が悪い。正直、ない方が生活を乱されない。
ここまで関心が持てないのは、今のオリンピックが商業主義で、またプロ選手が参加し、かつての精神がないからに他ならない。本来、スポーツとは楽しみながらするもので、ここにはそれが欠けている。
(第三百六十三段)