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黄昏夕暮歌(あおいかなたに)

 『豆腐百珍』を調べていると、佐貫の酒仙より連絡がある。久し振りに東京に出てきたので、飲まないかという。
 昨年までなら迷わずに行くところである。ただ、今年は書くことに集中したかったので、なるべく控えている。それに、年とともに、次の日までアルコールが残り、苦しむのが分かっている。体力勝負である。体格の良い酒仙との時は尚更である。
 とはいえ、会うのは二月以来であるし、この機会を逃せば、しばらくは会えないだろうから、ひと風呂浴びてから待ち合わせの新宿南口に向かう。
 それにしても財布が軽い。今、財政は火の車である。懐から「ひもじい」と泣き声が聞こえる。自己嫌悪になる。酒仙には先に懐事情を伝えているが、今までの経験から予算内では無理に違いない。
 それを考えると、明日から当分は困窮した生活にならざるを得ない。石川啄木や山上憶良を思い出す。
 黄昏気分で杯を交わす。
 最近、酒仙との話題は身体の調子加減がほとんどである。どうも陰気臭く、益々気が滅入る話題である。それでも、そこから話は広がり豆腐の話になる。
 先に書いた疑問、木綿と絹漉しに関しての料理における使い方だけれど、酒仙によればどうも違うらしい。酒仙は自信を持って否定する。出る前に、『豆腐百珍』を調べたところでは、その辺についての記述はない。江戸でそれらの製法が完成していたのか否かは知らぬが、結局どうなのか、もう一度文献に当たる他ない。
(第二百四十一段)
by akasakatei | 2004-04-28 17:31 | 余暇 | Comments(0)
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