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江戸弥生道中話(たびのみやげ)

 相変わらず隣席の赤ん坊は袖を掴む。この機会に後学のため、観察していると、母親は知らないものを色々と鞄から取り出す。特に、珍しかったのは子供用の小魚である。カルシウムを摂らせるのだろう。話では知っていたが、実物を目にするのは初めてである。
 初めてといえば、次の経験である。女性乗務員が車内検札で前の席の女性に注意をしている。どうやら、犬を抱いているらしい。この数日前に新聞でその種の記事を読んだので、どういう人か気になり、席を立ったついでに横目で見れば、驚いたことに子犬を三匹も遊ばせている。飼い主にとっては可愛いのだろうが、万一のことがあったら、どうするのだろうか。その女性は子供連れであり、その教育方針を知りたいと思った。
 また途中、鉄道警察隊が巡回に来る。勿論、テロに備えてである。車内放送でも不審物に対しては触らないように案内している。それ故か、京都から乗車した斜め前の女性が、名古屋を過ぎても隣席には荷物だけで持ち主が姿を現さないことを不審に思って、車掌に申し出ていた。
 これについては、その持ち主が通路側を嫌い、席を移していたのですぐに分かったので事なきを得たが、実際の爆弾だったならばどうなっていたであろうか。
 この帰路は色々と考えさせられた道中であった。
(第二百二十一段)
by akasakatei | 2004-04-08 17:05 | 社会心理 | Comments(0)
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