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競維駈(しゃかいにでるまえのこしかけ)

 第百六十八段の甲の元彼女によれば、子供には良い教育を受けさせるべく、私立に通わせるべき必要があるという。私立に拘るのは良い教師がいるためで、教師も私立の方が給与も高いためにその質が高く、子供を安心して任せられるのがその理由らしい。
 この考えも一理あるが、現代社会において中学から私立に通わせるにはそれなりの稼ぎが必要だろう。事実、高校では父親が失業したために、授業料が払えずに退学していく生徒がいる。簡単に、私立に通わせるのは難しくなっている。
 当然、ここで疑問が生まれる。価格破壊が叫ばれる時代なのに、教育費はどうして下がらないのであろうか。
 第一に、学校は神聖な場所であり、授業料の値下げは一般的な商品と異なり、学校のイメージを低下させる働きがあるということである。つまり、ステータスともいえる。これがお坊ちゃま学校やお嬢様学校と言われるものだろう。
 第二に、教師の人件費や校舎の維持費だろう。学校とは、社会に出る前の子供を預かるわけだから、予期せぬトラブルが多発することは容易に察せられる。それに備えているともいえる。
 だが、現在は少子化であり、学校が生き残りを掛けている時代である。これに対し、入学試験の変更などで乗り切ろうとする学校が目立つが、逆に、授業料を思い切って値下げし、その分、受験生を多数集めて、受験料で収入を増やすのも一考ではなかろうか。
 何はともあれ、教育費の高さは以前から指摘されていたことである。これが続くようだと、かつてのように公立人気が復活することも考えられる。また、冒頭で教師の質に触れたけれど、公立の場合、公務員ということもあり、職に対する安定志向を求める今日、公立に良い教師が集まる可能性も捨て切れない。
(第百七十一段)
by akasakatei | 2003-12-25 15:01 | 教育 | Comments(0)
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