ついこの間新年を迎えたと思ったら、もうすぐ花見である。現在でこそ、花見は桜となっているものの、これは時代によって異なる。例えば、江戸では梅や桃、山吹、躑躅、藤なども愛でており、一年中季節を楽しんでいたのは有名な話である。
それに倣い季節に応じて花を愛でいるが、どこに行っても年配の女性ばかりが目に付く。これは芝居も同様である。
一般的にその層が元気であるとは、以前より指摘されていたことであるが、実際目の当たりにすると、今後の市場は如何にこの層を取り込めるかが鍵だと改めて思う。
芝居や花について考えると、それらは美や非日常空間を楽しむものであり、現実主義が強いと楽しむのは難しく、こういったことからも男性は敬遠しているのかと予想される。逆にいえば、心に余裕がないと楽しめないということになる。
現代社会は閉塞感が強いが、これは経済や政治などについ目が行ってしまうためで、今後もそれらが良くなるとは思えず、ここらで発想を転換させるべきであろう。
(第七十八段)