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腑思戯(ひとつにみちびく)

以前、人魂に遭遇したことについて書いたが、今度は人による不思議なからくりが解けないでいる。
例えば、自宅でも職場でも構わないのだけれど、休み明けなどの様に、その日、自分がそこに入るまでは誰も入室出来ない空間において、明らかに退室する前の状態と異なっている雰囲気だったことはないであろうか。
先日、そうした経験をした。それは仕事場においてなのだが、朝来てみると、女子便所の戸が開いており、またごみ箱の中のごみがなくなっており、ご丁寧なことに新しいごみ袋に代えられていたのである。
色々と状況を考えるものの、ごみを持っていく奇特な人間などまず考えられない。ただひとつはっきりしているのは、女子便所に香水の匂いが残っていたことである。手掛かりはこれだけである。
ここで整理してみる。仕事場は都内の雑居ビルの三階にある。その目の前には交番があり、怪しい人間はすぐ目に付くはずである。部屋の鍵は他に管理人が持っているだけだが、その管理人は休暇で茨城へ行くと金曜日に聞いている。戻りは翌週の水曜日だという。
一体、誰が、何の目的で、どうやって入ったのか。誠に落ち着かないことである。
まさかストーカーではないだろう。 
念のため、便所には窓があるので、そこを確認するも完全に鍵が掛かっている。第一、隣のビルの壁面に接しているので人ひとりが潜り込む余地さえない。
狐に化かされている気さえしてくる。江戸の怪奇現象とはこうしたものだったのかもしれぬ。
(第五十五段)
by akasakatei | 2002-10-23 12:45 | 社会心理 | Comments(0)
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