国領の世捨て人とその細君、更には、細君の実家で飼われている犬と多摩川沿いを歩く。
聞くところによると、犬は、結構、吠え、出前や新聞配達人らが被害に遭っているとのことだ。
実際、他の犬を見ると、威嚇する。
こちらに顔を近付いて来た際、些か、逃げ腰となる。噛まれたくはない。
今回、多摩川付近を散策するのは、陽気に誘われたからだ。
彼岸花が咲く土手を下り、水の流れに近付こうと思うものの、意外に遠い。水量がないことを改めて知る。
土手から水辺までの間に、畑らしいものや小屋らしきものがいくつかある。周囲は叢だ。
一体、何かと思う。
犬は、そういうこととは関係なく、勝手に進む。日焼けをした住人が現れる。どうやら人生の諸先輩方だ。
自給自足の生活をしているのか。
外に置かれた鳥籠が印象的だ。
(第三千三百十七段)