車やパソコン、携帯電話を使った犯罪が最近の特徴である。特に、誘拐や詐欺など手口が巧妙になっている。気を付けねばなるまい。友人、知人の中にも被害に遭いそうになった者がいる。
それらは便利な反面、ある一面においては物騒なものである。全ては使う人間の問題だけれど、長期的に見て、物そのものの安全性が確認されていないものもある。
そのような電脳社会だからか、今年の初詣は地元の神社でさえ、お参りするまでに五十メートルほどの行列に並ばねばならなかった。考えてみれば、一年のうち、ほっとするのは正月だけかもしれない。これを過ぎれば、普通の生活に戻る。また、機械に追われる日々である。
町は静かである。大晦日に雪だったこともあり、音が全て積もった雪に吸いこまれる。神社までの道、かなりの家の前で雪だるまを見掛ける。子供がいるのだろう。このように多いのは珍しい。これもあと数日すれば消えてしまう。
消えるといえば、神社までの道にあった造り酒屋がなくなっていた。跡地が更地になり、マンションが建つようである。値段は少々高かったけれど、口当たりの良い酒だった。これは寂しい。後継者の若い女性が作った酒が新聞で紹介されたことがあった。今から思えば、一度飲んでおくべきだったと後悔している。
(第四百九十七段)