ショールームを出、JRの御徒町に向かう。
切符を買うべく、運賃表を眺めていると、アジア系の男性に片言の日本語で声を掛けられる。
「六本木は。」
片手にJRの路線図を持っている。これには、地下鉄は出ておらず、六本木への説明は難しい。
ここからなら、六本木へは日比谷線の方が分かり易い。
「シンガポールから来た。日本語は駄目。」
学校を出て以来、英語は使っておらず、咄嗟に出て来ない。そこで、仲御徒町まで案内する。
道々、意思の疎通が出来ていないような会話をしながら、切符売り場まで案内する。
そこで、値段表を指差し、乗るべき駅までを教える。また、駅員に、英語用の地下鉄路線図も貰う。
自動改札を通させ、後の問題はホームだけである。
片言の英語で乗り場を教えたものの通じず、結局、ジェスチャーも加える。
最近、外人よりこちらへ訊きたいことは分かるのに、なかなか上手く答えられないのは、我ながら情けない。
(第二千五百六十一段)