蕎麦屋で手繰っている時、音を立てるか否か。
一般的には、立てるものだろう。落語や芝居でも、音を立てないと、美味しそうには見えない。
最近、どういう理由か、蕎麦屋へ行き、音を立てると振り返る輩がいる。
大体、若い女性である。
そうした連中の手繰り方を見ていると、最早、何を食べているのかという食べ方である。
手繰っていない。
だから、こちらも更に勢いを付け、手繰ることになる。
それにしても、江戸の物について、食べ方が分かっていない者を、このところ、よく目にする。
鮨も飯に醤油を付けるものではないだろう。
どういった環境で育ったのかと思う。
何れにしろ、疲れる世の中で、昔からの良いものが否定されるのは尋常ではない。
嘆かわしい。
(第二千五百三十三段)